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米韓訓練の関係で北朝鮮が騒がしいとの事で、韓国に遠征していたF-22戦闘機の2機。3012年4月4日夕方嘉手納基地に戻ってきた。
 道の駅からは、嘉手納に何機いるのかは当然確認できない。毎日フライトの度に、機体番号をチェックしてシリアルをメモしておかないと 12機飛来と言っても、本当に12機居るかどうか実態も判らない。
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2013年1月12日、アメリカ空軍は来週半ばよりF-22戦闘機12機を約4ヵ月の期間、嘉手納基地に配備する発表した。所属はバージニア州ラングレー空軍基地の部隊で、約300人のスタッフと共にF-22の訓練期間は4月下旬までとされていた。アジア太平洋地域に最新鋭機を配備すると発表したカーター国防次官の言葉通り、F-22は1月14日嘉手納に最初の9機が到着し、7回目の派遣訓練が開始された。7回目ともなると航空マニアからの注目度も下がり、航空マニアの関心も高くなかったが、尖閣問題や半島北で騒ぐ金坊っちゃんの国の関係で、F-22の配備はこの時期政治的には歓迎ムードであった。
 私は特に”FF”のF-22を撮りにわざわざ嘉手納に行く程、F-22に魅力を感じている訳ではなかったが、偶々帰国休暇のタイミングとVP-45のマーキングが撮りたい思いで、再び嘉手納遠征を決行した。
 わた
この時の米韓演習は、”フォールイーグル”と呼ばれた演習で、嘉手納からは2013年3月31日にこの2機が派遣されていた。この他グアムからはB-2も派遣され、恐らくは夜の内に北朝鮮上空まで進入してステルス性能を生かした活動を充分行ったのだろうと、勝手に想像している。
Wings
朝鮮半島から戻って来た2機のF-22、朝からの曇り空。午後数時間晴れ渡った時間にフォーメーションでオーバーヘッド。R/W23-Rightでの着陸。この月 嘉手納は90メートル幅の北側ランウェイが工事でクローズ、降りは的が絞れて便利であった。
今回飛来の機体、F-22Aの尾翼のチップに”SPADS"の文字が入っていたので、第94戦闘機中隊(94th FS)の所属の機体であろう。”SPADS”とはスパッド戦闘機のこと。ご存じの通り、第一次世界大戦時のフランスの名戦闘機で、ブレリオ・スパッド社製の複葉機。因みに”SPAD”という社名はフランス語で”Societe Pour Aviation et ses Derives”の略で 単なる「航空機及び関連製品株式会社」の意味である。社名は後にブレリオ社に統合されてブレリオ・スパッド社となった。
では何故、F-22にスパッド戦闘機の名前が書かれているのか・・・この辺になると第94戦闘機中隊の歴史に関連する事は間違いない。94th FSがアメリカ空軍(当時陸軍航空隊)でも最も古い飛行隊になることから、この部隊が第一次大戦でスパッド戦闘機を用いて活躍した飛行隊である歴史が容易に連想できる。
第一次大戦中のアメリカは、未だイギリス・フランスに比べ工業技術が劣っていたので戦闘機の輸入が盛んであった。スパッド戦闘機は当時の日本国も輸入したが、アメリカ陸軍航空隊は180機余りも輸入し、ヨーロッパ戦線で活躍させている。第94飛行隊もスパッドを使用した飛行隊で、同飛行隊ではスパッドZを乗機とするリッケンバーガー大尉がドイツ機5機を墜して先ずエースとなり、ニューポールに乗ったダグラス・キャンベル中尉も6機撃墜のエースと記録されている。当時の機体には胴体にハットインリンクが書かれていた。
それ迄、ドイツ帝国のアルバトルス戦闘機の活躍で、英仏空軍は空戦で不利な展開を強いられていたが、スパッドやキャメルの登場で連合軍側に勝利が再びやって来たと言われている。であるから、この部隊にとって"SPADS"は特別な意味を持つ。
薄くてよーく見ないと判らない尾翼チップのラインと”SPADS"の文字
2013年3月4日は、撮影を終えてホテルで見ていたところ、「本日はF-22の緊急着陸があった」との事。原因は燃料漏れだそうで、そう言えば今日大量の燃料を投棄しながら降りてくる機体があった。後日写真を良く見ると、なるほど捨てているのではなく「漏れていたのだ」 航空燃料は灯油のように引火力が低く、比較的安全な液体であるが、これだけ量を出していると早めの処置が必要だろう。F-22
F-22  Rapter
今回嘉手納に飛来したF-22は以下の機体であった。08-4152、08-4158、08-4166、08-4168、08-4169、FF-171、09-4173、09-4181、09-4187、09-4191、94th FS(シリアル不明)の12機。
当初 4か月と言われた派遣期間であったが、2013年4月末になっても帰国せずに嘉手納にしばらく常駐する事となった。フライト数は少なくなったそうであるが、2013年6〜7月に掛けて再び活発に活動を開始、部隊とパイロットは入れ替わっているようである。本土では、2飛行隊の内、予算削減のあおりで1飛行隊が飛行停止の状態であり、比較的予算制約の少ない極東での訓練で、練度の低下を回避しているとの事。